相模湖芸術の秋「清水和音ピアノリサイタル」

相模原市緑区与瀬

神奈川県立相模湖交流センター

 読書の秋、スポーツの秋、食欲の秋…皆さまどのような秋をお過ごしですか?相模湖のほとり「神奈川県立相模湖交流センター」からは、芸術の秋をお届けします。

相模湖の名ホール

 今回は、この会場で開催された『清水和音ピアノリサイタル』をレポートします。ところで、相模湖交流センターがいったい何で有名かご存知でしょうか?ここは知る人ぞ知る「録音の聖地」、世界中から著名なアーティストが録音のために訪れており、たくさんの名演奏がこのホールから世界に発信されています。また、ホールの音響効果もさることながら、もうひとつの名物はホールのグランドピアノ、ウィーン生まれの名器ベーゼンドルファーです。実は今回リサイタルを開催された清水和音さんがベーゼンドルファーで演奏されることは非常に珍しく、どういった音色を奏でるのかにも注目が集まりました。

相模湖交流センターが誇るピアノ “ベーゼンドルファー”

ピアノ界の巨匠、清水和音

 弱冠20歳で、パリのロン=ティボー国際コンクール・ピアノ部門で優勝とリサイタル賞を衝撃のW受賞した天才清水和音さん。デビューから今年で35周年を迎えるピアノ界の巨匠は、相模湖には今回が初登場となります。

 今回のプログラムはこちらの4曲。
モーツァルト:ピアノ・ソナタ第11番イ長調 K.331「トルコ行進曲付き」
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第21番ハ長調 作品53「ワルトシュタイン」
ドビュッシー:映像 第1集
ラヴェル:夜のガスパール

 清水和音さんの演奏といえば、ベートーヴェンを筆頭とした古典派の曲が特に高い評価を得ていますがその前評判以上に圧巻のリサイタルでした。

 モーツァルトの驚くほどの繊細さがあっと言う間に清水和音の世界へ私たちを引き込み、ベートーヴェンの迫力がベーゼンドルファーの深々とした響きで一層その魅力を増す…。後半は前半と打って変わって、清水さんには珍しいフランスロマン派の作品。こちらも前半の魅力に負けない表現力と多彩な音色で、ロマンチックなピアノが物語を読んでいるかのような演奏。来場していたお客様からは、鳴り止まない拍手と熱い感想が清水さんに贈られました。

 しかしそんな素晴しい演奏を披露した清水さん本人は上機嫌で「楽譜通り弾いているだけ」と仰るのだから、びっくり仰天です。

清水和音さん

水源地に本物の芸術を届けたい

 プログラムには、水をモチーフにした曲がいくつか入っており、そういった構成も、相模湖という水源地のリサイタルならではだったのかもしれません。相模湖交流センターでは過去にも水をテーマに取り上げたコンサートやギャラリー展示が開催されています。

 水源地の人々に、そして水の恵みを受ける都市部から来る人々に、本物の芸術を提供し続ける相模湖交流センター。これから深まる秋に向けて、水彩画展やコンサートなどまだまだ多数のイベントが予定されています。芸術の秋を堪能しに、相模湖へぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

関連リンク:相模湖交流センター 講座・イベント案内 特集一覧へ