おだあし田んぼアート2016「OUR WATER SOURCE」(私たちの水源)に参加しました!

足柄上郡山北町谷峨

当日朝の会場(山北町谷峨)は抜けるような青空でした

田んぼアートを通じた上流域と下流域の交流の実現

みなさんは、日頃、自らが使う水がどこから来ているか、意識することがありますか?

水源地域交流の里づくり推進協議会では、上流域地域(水源地域)と下流域地域(ダムにより開発された水資源を水道水源として利用している地域)の交流を図ることにより、水源環境の理解促進を図る事業を行っています。

具体的には、公民館事業を通じた、水源地域市町村と下流域市町村との住民交流や、上流域の小学校と下流域の小学校との相互交流による水や水を生み出す環境の大切さを学ぶ事業などを実施しているのですが、今回、小田原足柄異業種交流勉強会(以下、おだあし と言います)が、水源地と下流域とのつながりの創出を目指して、山北町で「田んぼアート」を実施するというニュースを知り、早速参加の申込みをさせていただきました!

開催日の6月4日(土)は朝から素晴らしい青空でした。私は車で会場まで行ったのですが、会場近くの谷峨駅近くからは、イベントを支える方々が道案内に立たれており、おかげで、会場までの道のりはスムーズ。難なく、会場に到着することができました。

会場には、既に多くの人達が集まっておりました。見受けたところ、お子さん連れの家族で参加された方が多かったのかなと。子ども達の元気な声がひびきわたります。

8時30分にイベントはスタート。まずは、田植えでの安全と豊穣を祈念して、報徳二宮神社による「お田植(たうえ)祭」が行われました。
お田植え祭では、自家製天然酵母ぱんDestureの山北リヤカー店の店長で、山北のNPO法人共和のもり事務局の花坂拓人さんが代表で田植え神事にのぞまれました。

儀式終了後、このイベントを主催するおだあしコアメンバーの志村成則さんから、田植えに関する説明がありました。今回の田んぼアートは「緑米」、「香り米」、「黒米」の3種類の稲を使って色の違いを出し、「OUR WATER SOURCE」(私たちの水源)という文字を表現するものですが、そのためには、設計どおり、決められた場所に決まった種類の稲苗を植えることが必要になります。しかも、苗はどの種類も同じに見えて、一見では見分けがつかないのです。これは慎重にやらないときちんとしたものにならないなと若干の緊張感を覚えました。

田植えの説明を行うおだあしコアメンバーの志村成則さん(中央) お田植え神事にのぞんだ花坂拓人さん(右)

田んぼアート 子どもたちも田植えに挑戦!

そしていよいよ、田植えスタート。水が張られた田んぼに次々と参加者が入って行きます。筆者は田植え初体験だったので、泥を踏む感触を確かめながら転ばぬよう、慎重に移動しました。周りではすでに、子どもたちの歓声や、一部で泣き声も起きていました。

田んぼには、杭とロープで田植えを行う際の目印ができていました。これだけの準備をするのにはきっと何人もの人たちの事前準備があったことでしょう。準備に関わられた全ての人たちに感謝です!

田植えをする参加者の皆さん

子ども達も泥にまみれて奮闘!

田植えはコアメンバーの方々のリードにより、順調に進みました。最初はおっかなびっくりだった筆者もだんだん田植えに慣れてきました。子どもたちの中には、既に田植えに飽きて、泥遊び?に転向している子も・・・(笑)。また、「カエルがいたー!」という声も上がっていました。日ごろなかなか自然に触れる機会の少ない子どもたちにとっては、得難い体験ができた貴重な日になったことでしょう。

当初、私はかなりの体力を消耗するかと思ったのですが、参加者が多かったためか、それほど肉体的な疲労は感じませんでした。後で聞くと、なんと140人もの参加者が居たそうです。おだあし田んぼアートは今年で4年目とのことですが、過去最大の参加者が集まったそうです。志村さんをはじめとするコアメンバーのみなさんの趣旨に賛同する人がこれだけ多くいたということですね。

親子でパチリ!ん、お子さんが持っているのは・・・?

田植えの後はジビエを中心とした昼食をいただきました

お昼頃には田植えも終了し、場所を少し移動して、昼食となりました。

昼食は古谷シェフによるジビエ料理がビュッフェ形式でふるまわれました。メニューは次の通り

・神奈川県奨励品種米「はるみ」のかまど炊きご飯
・鹿肉のペルケルト(ハンガリー料理)
・猪肉のフェイジョアーダ(ポルトガル料理)

ジビエ料理を提供するのは、森林で増えすぎた猪や鹿による農業被害を訴えるため。猪や鹿の肉を食べて、森林のバランスを取り戻せたらとの願いが込められているそうです。
ジビエ料理というと、ちょっとクセがあるのでは?というイメージでしたが、全くそんなことはなく、大変美味しく頂戴しました。

また、会場ではほかに、今回の山北での田植え場所の選定に尽力された自家製天然酵母ぱんDestureの高山正明さん提供の米粉パンや、小田原市久野の峯自然園さん提供の焼きシイタケもふるまわれました。

こちらもまた非常に美味しく、お土産に持って帰りたくなるくらいの絶品でした。

食事後は、受付でいただいた田んぼカフェチケットで、「Alfieri Cafe」のカフェラテを注文。
美味しいカフェラテを飲みながら、おだあし田んぼアートを主催する志村成則さんに、今回の取り組みについてお話を伺いました。

「はるみ」のかまど炊きご飯&鹿肉のペルケルト&焼きしいたけ

自家製天然酵母ぱんDestureの米粉パン

おだあし 田んぼアートプロジェクトによる水源地への思い

Q 今回の田んぼアートで4回目と伺いました。これまでは小田原で実施されていたようですが、今回は山北町での実施になりました。山北町で行うことによって、水源地域に住む人への感謝と、その水を毎日使って生活している小田原市や近隣地域に住む人たちの水源地への理解を深めることを目指したいとお聞きしましたが、志村さんが特に水源地域や水の大切さを訴えようと思われたきっかけはなんでしょうか?

志村さん:
今、私は小田原で米穀店を営んでいますが、以前から水に興味を持っていたので、魚を飼ったり、釣りやスキューバなど水に関わることをやっていました。今の職に就く前は、海の環境調査の仕事もしていました。米作りにはいい水が必要です。上流から流れてくる水で米作りを行いますが、水に含まれるミネラルが減少すると、お米もおいしくなくなってしまいます。いい米を作るためには、水源地域を大切にしなければならないと思い至りました。
また、毎日の水道水が当たり前のように使えること、職業上特に水に関係している(米→田んぼ→水)ので、その恩恵を得て生活できている・・・この当たり前の生活を次の世代にもつなげていきたいと個人的に思っています。

Q 今回、140人もの人が集まる大きなイベントになりましたが、プロジェクトを主催するおだあしのコアメンバーは何人くらいいるのでしょうか?

志村さん:
コアメンバーは5名です。靴屋さんや建設業など、職業はそれぞれです。それぞれの職業の方が、商売にリンクした事業として関わってもらっています。コアメンバーは5名ですが、おだあしはFacebookを活用して情報を共有するので、会員と非会員の境界がほとんどないのが特徴です。いろいろな職種の人達に自由に参加してもらえればいいなと考えています。自分は米屋ですが、下流できれいな水を必要とするのは米屋だけではありません。漁業、水産加工業、豆腐屋、酒蔵、印刷業、化粧品製造業・・・様々な業種の方も豊かできれいな水の恩恵を受けていることと思います。ぜひ、多くの皆さんが水や水源地に関心を持っていただければと思います。

Q これからのおだあしの活動で、やりたいこと、目標などあればお聞かせください。

志村さん:
まずは今回初めて山北町で田んぼアートを実施するにあたり、駐車場の草刈や田んぼの工事など、ご協力いただいた全ての方々に感謝したいです。
今後についてですが、田んぼアートでは社会問題を取り上げることとしていますので、田んぼアートによって問題提起をしていきたいですね。そして問題提起だけではなく、具体的な行動にもつなげていきたいと考えています。
まずは、興味を持ってもらうことが最初なので、水源地と生活とのつながりを皆さんに気づいてもらえるよう、これからも活動を続けていくつもりですが、ひとりでは大きくならないので、多くの人たちの協力を得て、県東部にもアピールしていきたいと思います。

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志村さんは多くの業種の人が水の恩恵を受けているのだから、その貴重な水を生み出す水源地の大切さに気づいて欲しいと話しておられましたが、実際に田植え作業をする中で、私が会話を交わした方々の中には、管理栄養士の方、郵便局にお勤めの方、お茶屋さん、小田原市の職員の方など多種多様な職業の方がおりました。まさに、おだあしさん(=小田原足柄異業種交流勉強会)の名前のとおりの活動だなと、実感いたしました。

そして、どうしてこのイベントに140人もの人々が集まってきたのか、志村さんのお話を伺ってわかるような気がしました。志村さんやおだあしのコアメンバーの皆さんの思いに共感する人達がまた新たな人達を呼び、その輪が広がっていく・・・。もちろん、そこには取組みや主張する内容の良さがあるとは思いますが、それだけではなく、人と人とのつながりを大切にする志村さんの人柄があり、また、こうした取組みを心から楽しんで協力している多くの人たちがいるからではないでしょうか。

こうした市民活動による水源地を大切にしようとする取組みが今後も継続し、より広がっていけばいいなと思いました。そして、もちろん、秋の収穫の際にはまたお邪魔したいと思います。

志村成則さん

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