「やまなみグッズ」特集: 中丸牧場、菓匠土門、中津ミート

やまなみ五湖地域の特色を活かした商品「やまなみグッズ」。この度、平成29年度に新しく登録された商品の作り手を訪ねて、中丸牧場(相模原市緑区)、菓匠土門(愛甲郡愛川町)、中津ミート(愛甲郡愛川町)の3社にお邪魔しました。

※販売状況は2018年3月30日時点の情報ですので、各問合せ先にご確認の上、ご利用ください(中丸牧場の牛乳かりんとは2020年3月現在販売休止中です)。

新鮮な牛乳の味がそのまま反映された「牛乳かりんと」

中丸牧場の山口重久さん。牛には一頭一頭名前をつけて可愛がっています

 旧相模湖町の内郷地区に残る唯一の酪農場「中丸牧場」。ここでは現在、26頭の成牛が飼育されています。通常、牛はシャイだそうですが、ここの牛はみんな人懐っこく、一斉にこちらを向いて出迎えてくれました。

中丸牧場の山口重久(やまぐち しげひさ)さんが、就農した当時は牛を飼いながら畑作をやっている家が多かったそうですが、約47年前に酪農専門になったそうです。周囲の牧場が跡継ぎ不足で次々と閉業するなか、現在も奥さんと息子さんと3人で、酪農を続けています。

今回やまなみグッズに登録された「牛乳かりんと」に使われている「石老山麓牛乳」が誕生したのは、2014年。神奈川県内に2つしかないブランド牛乳の一つで、JA津久井郡直営の農畜産物直売所「あぐりんずつくい」がオープンしたのを機に出荷を始めました。

「石老山麓牛乳」に使われる三種類の牛たち。右からホルスタイン種、エアシャー種、ブラウンスイス種

 最も一般的な乳牛のホルスタイン種に加え、もともとアイスクリームを作ってみようと飼育を始めたというエアシャー種とブラウンスイス種の3種の牛の特徴が合わさり、「濃厚だけど、サラッとしている」「牛乳嫌いでも飲みやすい」と評判の牛乳です。近隣のレストラン2軒では、この牛乳を使った料理も提供されています。

津久井湖を望むレストラン「季逢庵(きほうあん)」では、リゾットやショートパスタ、スープに「石老山麓牛乳」が使われています

 山口さんは、以前北海道で飲んだ、放牧牛からとれた牛乳の味が忘れられないそうで、「まだあの味には及ばない」と、試行錯誤を続けています。

そんな「石老山麓牛乳」から生まれた「牛乳かりんと」。農協と話し合いながら開発し、ラベルは山口さんの母校である県立相原高校の生徒に依頼しました。濃厚な牛乳の味が生かされ、黒糖が苦手な人でも、これならパクパク食べられそうです。牛の状態やエサ、季節によっても食感などに違いが出て来るというのが、また味があっていいですね。

「牛乳かりんと」と「石老山麓牛乳」

牛乳かりんと ※2020年3月現在販売休止中
1袋100グラム入り250円(税込み)

直売所 あぐりんずつくい
営業時間:3月~10月 9:30-18:00
11月~2月 9:30-17:00
定休日:水曜
相模原市緑区中野625-1
TEL:042-850-4183
さがみ湖プレジャーフォレスト内 売店、さがみ湖温泉 うるり、鳥居原ふれあいの館(いえ)他

職人技と愛川の自然の恵みが作る「菓匠土門」の和菓子

菓匠土門本店の店構え

 2件目に訪れたのは、昭和42年創業の老舗和菓子店「菓匠土門」。長年愛川町民に親しまれ、今では本厚木ミロードにも出店しています。伝統的な和菓子だけでなく、2代目店主の土門巨幸(どもん なおゆき)さんが「若い人にも食べてほしい」と開発した、いちご餅やどら焼きの皮で作ったラスクなど、さまざまな商品が並んでいました。

二代目店主の土門巨幸さん

 「父には最初は邪道と言われましたが、どれも今では人気商品。父の味が好きで来てくれる常連さんと、学校帰りに寄ってくれる学生さんなど若い人たちの両方に喜んでもらえるものを作り続けたい」と巨幸さんは話します。

今回、愛川ブランド認定品でもある「愛川銘菓 どら焼」「御炭山もなか」「三増獅子舞(みませししまい)」の3商品が、やまなみグッズに登録されました。

左から「御炭山もなか」「愛川銘菓 どら焼」「三増獅子舞」

 「御炭山もなか」と「三増獅子舞」は、先代の土門千次さんの代からあるもの。もなかは皮に厚みがあるのが特徴で、甘さにキレがあるという純度の高い白ざら糖を使用し、あんこの風味を引き立てる刻み栗が入っています。

「もなかはあんこを食べさせるためのお菓子のようなところがあるけれど、香ばしさも味わってほしい。一体感を重視して作っています」と巨幸さん。

また、「三増獅子舞」は、愛川町三増の諏訪神社で行われる神奈川県指定の無形民俗文化財「三増の獅子舞」にちなんだもので、父、母、子の仲睦まじい獅子の姿を表現しています。黄身餡に使っているのは、地元産の新鮮な卵。実は、神奈川県内で作られる卵のほとんどが、愛川町産だそうです。

どら焼きは、巨幸さんが千葉の和菓子店での修行から帰ってきた後に、現在のものになりました。生地のたて方を変え、ふわっとさせるために一手間かけています。こちらも、コシのある新鮮な卵と、愛川町の新鮮な水のおかげで、生地がだれにくいそうです。

菓匠土門の店内。常時30〜40種類ほどのお菓子が並びます

 地元を盛り上げようと、洋菓子店とコラボレーションした「生チョコ大福」などの新商品にも次々と取り組む土門さん。今後もどんな商品が生まれるのか楽しみですね。

愛川銘菓 どら焼
1個200円
御炭山もなか
1個200円
三増獅子舞
1個180円

菓匠土門 本店
住所:愛甲郡愛川町角田261-3
営業時間:平日9:00-19:00
日曜9:00-18:30
定休日:年中無休
TEL:046-285-1790

菓匠土門 本厚木ミロード店
住所:厚木市泉町1-1 小田急本厚木駅構内
本厚木ミロードB1F「ミロードフードマーケット」内
営業時間:10:00-21:00
定休日:不定休(本厚木ミロードの休みに準じる)

安心安全だけではない、手間暇かけておいしさを実現した「丹沢ハム工房」のウインナーとロース豚漬け

「丹沢高原豚」の養豚場

 同じく愛川町に本社を置く「中津ミート」は、町内で育てられた「丹沢高原豚」の食肉加工を行い、「丹沢ハム工房」のブランド名でハム・ソーセージを販売しています。自然食品通販の大手複数社が取り扱っているので、目にしたことのある方も多いかもしれません。環境への配慮や、動物福祉(アニマルウェルフェア)を追求して作られた良質な豚肉が、食品添加物を使用せずに加工され、全国の家庭の食卓へ届けられています。

茹でるだけでおいしいという「丹沢ハム工房のポークウインナー」は、ドイツの伝統的な製法である温屠体(おんとたい)をつなぎとして使用しています。温屠体とは、屠畜直後の豚肉を解体し、約8時間以内にペーストにしたもの。食品添加物不使用のウインナーは結着力がなくなってしまうのが難点でしたが、日本では数社しか実践できていないといわれるこの方法をとることで、弾力のあるウインナーを作ることができます。

いずれ養豚場にレストランを併設し、お客さんに豚を間近でみてもらいたいという夢も話してくれた松下社長

 「安心・安全は当たり前。おいしくなければ意味がないと、いつも現場のスタッフに言っています」という松下憲司(まつした けんじ)社長の言葉が、力強く響きます。

ポークウインナーと共にやまなみグッズに登録された「ロース豚漬け(味噌漬け)」は、厚木周辺のご当地グルメ。隠し味にピーナッツバターを練り込んだ特製ダレで、まろやかで深みのある味に仕上げています。テフロン加工のフライパンで、水を入れずに蒸し焼きにすると、みそ味がよく染みておいしく食べられるそうです。

やまなみグッズに認定された「丹沢ハム工房のポークウインナー」と「ロース豚漬け(味噌漬け)」

 現在、通販以外で「丹沢ハム工房」の商品が買えるのは、本社に併設された中津ミート直売店と、首都圏各地に店舗を持つオーガニック・自然食品の「こだわりや」店舗。直売店では、自社商品のほか、全国各地からセレクトした野菜や調味料、お菓子などの自然食品を販売しています。規格外品など、ここでしか買えないお得な商品も。

「直売店の冷蔵庫にはお宝がたくさんあるので、料理の好きな方はぜひ見に来てほしいですね」と語る松下さん。気になる方は、ぜひ、直売店を訪れてみてください。

直売店では、規格外品などのお得なものや、全国各地の自然食品を販売

中津ミート直売店
住所:愛甲郡愛川町角田230番地1号
営業時間:10:00-17:45
定休日:日曜・月曜
TEL:046-285-3187

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