ガラス工芸体験と温泉と!芸術のまち藤野を楽しむ休日プラン

神奈川県と山梨県の県境に位置する藤野地区(神奈川県相模原市緑区)は、戦時中に画家の藤田嗣治(ふじた つぐはる)など多くの芸術家が移住してきました。
その頃からの縁で、現在もさまざまなジャンルのクリエイターがこの地区に暮らし、創作活動をしていることから「芸術のまち」としてよく知られています。

山と湖の自然豊かな藤野地区は、都心から1時間ほどで訪れることができるので、週末はアート体験や里山体験に訪れる家族連れ、ハイキング客などで賑わいます。

今回はそんな藤野地区で、アートと自然の両方を楽しむ日帰りプランをご紹介しましょう。

藤野の玄関口であるJR中央本線「藤野駅」に降り立つと、向かいの山に大きなラブレターのオブジェが見えます。これは「緑のラブレター」といって、藤野のシンボル的な存在です。藤野にはあちこちにこうしたアート作品があって、訪れる人を楽しませてくれます。見つけたら忘れずに記念撮影を。

藤野駅には観光案内所「ふじのね」があります。周辺の地図や観光情報の記されたパンフレット等が置かれているのでまずはここで情報収集をしましょう。車でお越しの際は中央自動車道の相模湖インターチェンジで降りると藤野駅まで10分ほどで着きます。

アートが集まるふじのアートヴィレッジ&マクロビランチ

今回まず訪れたのは「芸術のまち」藤野を代表する場所のひとつである「ふじのアートヴィレジ」です。藤野駅から車またはバスで5〜10分ほどのところにあります。

ここは藤野を中心に創作活動をしているアート・クラフト作家たちの9つのコンテナギャラリーが並んでいる楽しいアートギャラリー&マーケットです。
入口を入った左手には陶芸、木工、彫金、染色、絵画、ガラス工芸などのアートショップが並び、右手のログハウスはアロマテラピー、ボディ・フェイシャルケアが受けられる癒しの空間になっています。

そして正面奥には「野山の食堂」というレストランがあり、月~木はマクロビオティック(動物性の素材を使わない料理)の「笑花食堂(ワラハナしょくどう)」、金土日は手ごねの本格的ピザを提供する「藤平ピザ(とうへいぴざ)」と、どちらも地元野菜をつかった美味しいごはんをいただくことができます。

コンテナギャラリーのアートショップは基本土日のみオープンなのですが、この日は「アトリエ紡-tsumugu-」と、家具工房「Knotty Wood Thread(ナッティウッド&スレッド)」にお店の中を見せていただきお話を伺いました。

写真左上は2018年1月にオープンしたばかりの「アトリエ紡-tsumugu-」陶芸家の足立貴隆(あだち きよたか)さんと神坂幸恵(かみさか さちえ)さん。この日はオープン準備の搬入に来ていました。若いお二人は創作活動の拠点として藤野を選び、2015年に移住してきたそうです。
写真右上は藤野に移住してきて30年になる「Knotty Wood Thread」筒井美津子(つつい みつこ)さん。草木染めの織物を制作している筒井さんは、家具・クラフト作家のご主人・明さんとともにここでお店を出すようになってもう7〜8年とのこと。
作品を作る時は工房にこもりがちですが、週末はお店に来て地元の方々やお客さん、他の作家さんとの交流ができることが最大の魅力だそうです。

そしてこの場に来る人々に美味しい食事と憩いのひとときを提供しているのが、アートヴィレッジ内のレストラン「野山の食堂」です。

今日はこちら「笑花食堂(ワラハナしょくどう)」でランチをいただきました。
マクロビオティック(動物性の素材を使わない料理)の考えに基づいたメニューで、地元藤野の有機・無農薬野菜を使ったからだに優しいお料理を出してくれます。
天井の高い店内には木のぬくもりが感じられる素敵なテーブルと椅子があって、座るととても落ち着けます。

オーダーしたのは、オススメという「車麩(くるまふ)の照焼定食」。
甘じょっぱく味付けされた車麩はしっかりした噛みごたえがあってとっても美味しい!玄米のごはんもふんわりとやわらかく炊けていて優しい甘さがあります。
「どうしたらこんなにふんわりと玄米が炊けるのですか?」など、オーナーの植松紀衣(うえまつ きい)さんにお話しを伺いながら、ゆっくりと時間をかけて楽しくランチをいただきました。
※ちなみに玄米は浸水時間をたっぷりとるのがポイントだそうです。

藤野は水源地として自然が守られていて、農家も数多くあります。植松さんも移住して藤野に住むようになりこのお店をはじめましたが、きれいな水で育つ藤野の農作物とマクロビ料理はとても相性がよく、食材には困らないそうです。

【イベント情報】ふじのアートヴィレッジでは毎月第4土日に「Elephant Market(エレファントマーケット)」というマーケットが開催されていて、アートヴィレッジのお店だけでなく開催日限定の地元農産物やアート・クラフトが出品されています。他にもワークショップなど楽しいイベントも開催されますので、ぜひお出かけください!

ふじのアートヴィレッジのご案内

  • 車でお越しの方
    • 中央道「相模湖IC」から一般道へ。国道20号線から県道76号線に入り、道なりに5分。※駐車場あり
  • 電車・バスでお越しの方
    • JR中央本線「藤野駅」下車。
    • 藤野駅停留所からやまなみ温泉行きバスに乗り、「藤野芸術の家」停留所下車すぐ。
  • 住所 神奈川県相模原市緑区牧野5570
  • 連絡先 TEL: 050-3791-0999(レストラン営業中のみ)
  • レストラン
    • 笑花食堂(月~木)
    • 藤平ピザ(金~日)

(関連リンク)

藤野芸術の家でガラス工芸に挑戦!

さて、アートヴィレッジでアート工芸作品を楽しみ、美味しいランチをいただいた後は隣にある「神奈川県立 藤野芸術の家」へ。
ここは自然の中でさまざまなアート&音楽の体験ができる滞在型の芸術活動施設です。

こちらには木工、陶芸、ガラス工芸の工房があり、それぞれの工房での体験コーナーは、週末になると家族連れやカップルなどで賑わいます。

写真左から陶芸、木工、ガラス工芸の様々な作品。

今回は「サンドブラスト」というガラス工芸を体験してきました!
ガラスの器にテープを貼り、自分の好きな模様でテープを切り抜いたらそこへ細かい粒子の砂を吹き付けてガラスの表面を削り、模様を浮かび上がらせる技法です。
もちろん私は初心者。さてうまく作ることができるでしょうか?

写真左は工房の中の様子。学校の図工の時間を思い出します。
写真右、まずは自分が作りたいガラスの器を選びます。大皿、小皿、ぐい呑みグラス、コップなどいろいろありますが、今回は右の青い小さなコップにしました。左の完成品のような雪の模様をつけていきたいと思います。

左:まずはたくさんある図案の中から気に入った模様を選び、薄紙にトレースします。
中:コップにマスク用のテープを貼り、そこにトレースした模様をこすって転写します。
右:模様の線に沿ってカッターでテープを切り抜きます。

この模様をカッターで切り抜く作業がけっこう大変でした!

左:メイン模様の型抜き作業で力尽きたので、残りはすでに型抜きしてあるシールを使うことに(シールもたくさんの種類があります)
中:模様以外の場所へのマスキングが終わったらいよいよ吹き付け作業へ!専用のブースに両手を入れ、砂を吹き付けます。
右.砂を吹き付けるとその部分が少しずつ削られて白い模様になっていきます。

ムラがないかどうかを先生に見てもらいながら砂を吹き付けていきます。慣れればグラデーションに白くすることもできるそうですが、初心者なのでムラ無く平坦に模様ができれば良しとします。

そしてはじめてから約2時間・・・ついに完成!

せっかくなので他の完成作品と一緒にライトのある所に置かせていただき、撮影しました。なかなか良い出来だと自画自賛!

雪の模様をカッターでくり抜いてる時はまさに「無の境地」でした。こんなに集中力を発揮したのはいつ以来でしょうか。心地よい疲れと達成感に包まれます。

家族で来るお客さんでも、最初は乗り気ではなかった親御さんのほうが、だんだんとお子さんよりも真剣になっていくことが多いとか。(すごくわかります)
陶芸体験だと焼きあがるまでに時間がかかりますが、サンドブラストは作品をその日に持って帰れるので人気のメニューです。

初心者でも多少不器用でも、とても丁寧に教えてもらえるので心配いりません。また、予約もいりません。2時間集中して何かを作る…なかなかそういう機会はないのですごく楽しいですよ!

ちょっとコツもつかめたのでこれはもう一度やってみたいですね。模様はオリジナルで考えてもいいし、オリジナルで思い浮かばなくてもたくさんの模様の図案が用意されています。上の写真で、左にあるグリーンの作品のように、シンプルに四葉の模様を組み合わせたものも素敵です。

先にアートヴィレッジでプロの作った工芸品を見ておくと、インスパイアされてステキなデザインが思いつくかもしれません。

藤野芸術の家はアート工芸体験だけではなく、音楽スタジオやホールもあり、コンサートや音楽ワークショップ、ステージ音響・照明技術を学ぶ舞台技術講座なども開催しています。
アート工芸体験と合わせて音楽もぜひ楽しんでください。

【お得情報】藤野芸術の家は宿泊もできます。冬期には1泊2食(夕食・朝食)付きでご宿泊の方に工房体験が無料になる冬季限定キャンペーンを開催しています(平日・日曜日の宿泊限定、2月末まで)ご宿泊日の1週間前までにご予約ください。

神奈川県立 藤野芸術の家のご案内

  • 車でお越しの方
    • 中央道「相模湖IC」から一般道へ。国道20号線から県道76号線に入り、道なりに5分。※駐車場あり
  • 電車・バスでお越しの方
    • JR中央本線「藤野駅」下車。
    • 藤野駅停留所からやまなみ温泉行きバスに乗り、「藤野芸術の家」停留所下車すぐ。
  • 住所 神奈川県相模原市緑区牧野4819
  • 連絡先 TEL 042-689-3030  FAX 042-689-3050

(関連リンク)

一日の終わりは「藤野やまなみ温泉」で温まろう

さて、サンドブラスト体験で頑張ったらすっかり肩が凝りました。せっかくだから温泉に入っていきたいです。

「藤野やまなみ温泉」は藤野芸術の家から車で5分ほどの所にある温泉施設で、加水していない豊富な良質成分を含む源泉を使用している天然温泉です。

お湯の温度はややぬるめなので長く温泉に入っていられるのが疲れを癒せるポイント。無色透明な泉質はアルカリ性でお肌がすべすべになります。

素晴らしいのはこの露天風呂からの眺め!

小高い丘の上にあるため遮るものがなく、広々としていて開放感たっぷりです。春は桜、夏は新緑、秋は紅葉、そして木々の葉が落ちる冬は遠くまで景色が見通せます。
この場所はかつて中学校だったため桜の木が多く残っていて、満開の頃も美しいそうです。花見風呂・・・憧れますね!

やまなみ温泉は陣馬山、峰山など人気のハイキングルートの近くにあることから、登山の帰りに訪れるお客さんが多いです。また、藤野には元F1レーサーの片山右京さん率いるロードバイクチームの拠点があるため、全国から集まったロードレーサーたちがコース走行後にここで疲れを癒やしていくそうです。

地域の人にとっても大切な癒やしと憩いの場になっていて、毎日お風呂に入りに来る方がいらっしゃるとのこと。

お風呂は内湯「森の湯」「湖の湯」とあり、毎週木曜日に男女入れ替えをしています。内湯のほか、それぞれに、露天風呂、サウナもあります。ボディソープやシャンプーは備え付けのものがあり、タオルなども販売しているので手ぶらで来ても大丈夫ですよ。

施設内には「やまなみ食堂」という食事処があり、ゆっくり温まった後においしいご飯を食べることができます。

やまなみ食堂の人気メニューは「しょうが焼き定食」ですが、藤野はゆずが特産品ということでゆずを使ったメニューもいかがでしょうか?
藤野のゆずポン酢「ゆずの尊(みこと)」(*)でいただく「牡蠣フライ」と、ゆず胡椒でいただく「味噌おでん」は冬の人気メニューです。
お風呂上がりには冷たいゆずサイダー&ゆずシャーベットも美味しいですよ!

売店では藤野の特産品を多く取り扱っているので、おみやげもここで選んで帰りましょう。

左.ブルーベリーも藤野の特産品。「ぶるべの樹ブルーベリージャム」(*)は100%無添加の自家製ジャムです。
中.「藤野ゆず坊サイダー」(*)と、ゆずポン酢「ゆずの尊」(*)は自分用にも買って帰りたい一品。
右.藤野特産の大豆を加工したきなこでつくった珍しいうどん「いわ麺」

これらのおみやげは藤野駅の隣りにある観光案内所「ふじのね」でも購入できますが、ふじのねは17時閉店なので遅くなりそうな時は注意しましょう。

(*)の商品は「やまなみグッズ」にも認定されています。

 

【お得情報】

こちらの画像を印刷して受付へお持ちください。

藤野やまなみ温泉のご案内

  • 車でお越しの方
    • 中央道「相模湖IC」から一般道へ。国道20号線から県道76号線に入り、道なりに約15分。※駐車場あり
  • 電車・バスでお越しの方
    • JR中央本線「藤野駅」下車。
    • 藤野駅停留所からやまなみ温泉行きバスに乗り、「やまなみ温泉入口」停留所下車2分。
  • 住所 神奈川県相模原市緑区牧野4225-1
  • 連絡先 TEL 042-686-8073  FAX 042-686-8023

(関連リンク)

最後に、藤野の日帰り休日プラン・・・裏技?

アートヴィレッジでステキな工芸雑貨を見て、からだに優しいマクロビオティックのランチをいただいて、芸術の家でガラス工芸にチャレンジしたら、温泉で身体を芯から温めてリラックス。冬の一日を藤野でたっぷりと楽しむことができました。

藤野へは新宿からは約70分、横浜からは約90分です。ぜひ一度訪れてみてくださいね。

さて、ここで帰路につくわけですが、最後に温泉に入ってしまうとなんだかもう帰るのがいやになってしまった…そんな時にオススメな宿泊先が先に紹介した「藤野芸術の家」です。
藤野芸術の家は宿泊施設も備えていて、やまなみ温泉からは車で5分ほどの距離です。宿泊料金は大人が素泊まり一泊で3千円〜と大変リーズナブル(季節で宿泊料金は変わります)。
温泉に入ったらもう帰りたくなくなるかも…と思った時にはぜひ藤野芸術の家に問い合わせてみてください。

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