相模川支流、沢井川の『水源探索路ツアー』体験!

相模原市緑区

参加者に水源の説明をする滝澤さん(6月12日撮影)

あいにくの天気でしたが、先日、水源探索路ツアーに参加しました。

相模川支流沢井川、その奥に分け入って相模川の水源を探索、水源の森の様子をはじめ、水源地域の暮らしの痕跡、植物や動物など、水源地域を丸ごと体験できるツアーでした。普段は教育の一環として、子どもたちに自然体験を通じて学び、感じてもらうためのプログラムとして使われています。

水源探索のコースは、陣馬登山口付近から林道へ、途中、草を分けて山道に入り、水源へ足を運び、その後、作業道、登山道を登って尾根道を下るという、冒険とハイキングを味わうことができるもので、今回、引率いただく滝澤さんをはじめ、一般社団法人藤野観光協会のスタッフのご協力のもと、6名で水源探索を行いました。

滝澤さんは、藤野町の小学校統合計画により130年の歴史を閉じてしまった藤野町立沢井小学校でかつて教員をされていた当時、陣馬山の麓、相模川の一支流、沢井川に沿った山里の自然に触れていました。今でも「ふじの体験の森やませみ」から水源探索の協力要請があった際には、子どもたちを引率して、水源地域を紹介していることもあり、私たちに水源地域のことを1つ1つ丁寧に説明してくださいました。

私にとって水源探索ははじめての体験でしたが、途中途中で滝澤さんにご説明いただく内容がとても新鮮で驚きばかりでした。

・川の流れの分岐点ごとで、流れが小さくなるにつれて名称が「川」から「沢」へ変わること
・水源林の木々や草花の名まえと、その由来
・岩間から湧き出る水(水源)
・かつて里の人が住んでいた住居跡、炭焼窯の跡
・水源を守るための山の整備の大切さ

など、都会に住んでいると感じることのできないことばかりで、見て触れて感じることのできるとても貴重な体験でした。

実のところ、山は自然のままが良いと思っていましたが、自然のままというのも必ずしも良いわけではなく、特に人工林については、間伐をはじめとする森林整備を適切にしていかないと、山が荒れるということをとても感じました。

作業道にある炭焼窯の跡(6月12日撮影)

水源探索路ツアーの中で、子どもたちに人気のスポットが2つあります。

1つは「水源」で、ヨシノクボという沢を遡ったところにあり、陣馬登山口付近から徒歩でおよそ40分ぐらいの場所です。岩石の間から清水がチョロチョロと流れ出ています。「水源」と呼ぶのにふさわしい場所で、その水は美味しかったです。私と一緒に参加した方は、空のペットボトル2本分をいっぱいにして持ち帰っていました。

もう1つは、「水源」から作業道を登ったところにある「どんぐり広場」と呼ばれるところです。私たちもそこでお昼を取りましたが、冬の晴れた日には雪景色の富士山が望めるそうです。「ヤッホーと叫ぶとこだまが返ってくる」と滝澤さんが言われたので、参加者全員で「ヤッホー」と叫んでみました。そうすると、こだまが返ってきました。子どもたちの人気スポットであることがよく分かります。

尾根道を下っていき陣馬登山口付近へ向かう途中、滝澤さんのお知り合いの方が住んでいる家があり、そこにグミが鈴なりに実っていました。たまたまお知り合いの方が自宅から出てきて、滝澤さんが「グミを食べても良いですか」と聞くと、「どうぞどうぞ」と言われ、参加者全員がものすごい勢いでグミを摘み取って食べ始めました。形はサクランボに似ていますが、私自身、グミを食べた記憶がなく、食べてみると甘くて美味しかったです。

グミを摘み取った後、相模原市内に教育委員会の宿泊体験施設として「相模川ビレッジ若あゆ」と「ふじの体験の森やませみ」の2ヶ所あるうちのひとつ『ふるさと自然体験教室「ふじの体験の森やませみ」』に向かい、所長の小林さんにお時間をいただき、いろいろお話を伺いました。滝澤さんは、「ふじの体験の森やませみ」の活動協力者でもあります。

ヨシノクボ(6月12日撮影)

水源(岩石の間からチョロチョロと流れ出る清水)(6月12日撮影)

水源近くの「飲水思源」と書かれた木の看板(6月12日撮影)

グミを摘み取る参加者(6月12日撮影)

『ふじの体験の森やませみ』では、どういったことを行っていますか?また、施設利用の方法や手続きを教えてください。

主に相模原市内の子どもたち向けに、平日は小学生・中学生を対象とした日帰りや1泊2日、2泊3日の宿泊体験学習を行っていて、陣馬山への登山をはじめ、水源探索、薪割り、炭焼きや郷土料理づくりなど、この地域の自然や材料を活かした豊かな自然に触れ合える体験活動を行っています。

小学生・中学生だけではなく、特別支援学校や幼稚園・保育園の子どもたちが日帰りや宿泊をしたり、土曜日・日曜日や夏休み・冬休み・春休みなどの長期休暇の間は、スポーツ少年団や子ども会などの青少年団体がスポーツをしたり、野外での炊飯や川遊びなどを行ったりして親睦を深めています。

青少年団体などの利用の場合ですが、約3ヶ月前までに申し込みを行っていただくことになります。1回の利用で最大130人くらいまでの利用が可能で、利用日の40日前までに活動プログラムを作成し、提出していただき、その後、プログラムの調整を図り、30日前までにプログラムを決定します。決定後、利用日の14日前までに食事や教材を注文していただき、利用日当日に施設に来ていただいて、体験学習の開始となります。
また、手続きの相談などにも適宜対応しています。

ふるさと自然体験教室外観(6月12日撮影)

ふるさと自然体験教室そばの沢井川(6月12日撮影)

関連リンク:ふるさと自然体験教室『ふじの体験の森「やませみ」』

自然体験などのプログラムを通じて、子どもたちに何を学び、感じてもらいたいですか?また、今後、どのような活動に取り組んでいきたいと思っていますか?

子どもたちには、直接、自然と触れ合うことで自然の不思議さ、偉大さや、一緒に活動することで友達と協力することの素晴らしさを感じるとともに、心が豊かになり、生きる力を身につけてほしいと願っています。

自然体験では、地元の人との関わりも大切だと思っています。地元の協力者は50名ほどになりますが、畑を提供してくださったり、山の利用を提供してくださったり、直接、小学生・中学生の活動のサポートをしていただいたりしています。

また、当施設を利用いただく際、はじめに入所式を行っていますが、当施設の名前にもなっている「やませみ」という鳥について紹介しています。やませみは、山の中の水がきれいなところに生息する鳥で、きれいな水が無いと生きていけないことから、子どもたちにはこの自然豊かなところで、ゆったりと過ごしてほしいと思っていますし、相模原の水源はこの森にあって、その水がみんなの住む町に通じていて、水の大切さ、資源の大切さ、ひいては環境の大切さを知ってもらいたいと思っています。

現在は1泊2日、2泊3日の利用が多いのですが、もう少し長い期間、自然に触れ合ってもらえるようにしたいと思っています。文部科学省でも、自然に触れ合う体験を長期的に行うことを推奨していることから、多くの子どもたちや青少年団体に当施設を利用してもらいたいと思っています。

この豊かな自然の中で、様々な自然体験ができるため、子どもたちには自分たちの生活との関わりやつながりを感じてもらいたいですし、相模原市外の方でも利用できますので、自然に触れ合う機会を是非作ってほしいと思っています。

今回、水源探索路ツアー体験に参加させていただき、また、ふるさと自然体験教室『ふじの体験の森やませみ』での活動を伺って、

・人と自然の関わり方やそのあり方
・子どもたちにとって豊かな自然の中で豊かな体験活動をすることの大切さ
・地元住民との触れ合いや協力関係

などを、学ぶことができ、とても貴重な経験になりました。

ふるさと自然体験教室に併設されている薪割り場(6月12日撮影)

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