宮ヶ瀬湖
2005月9月26日

インタビュー:愛川和紙細工 米田さん夫妻

愛川町

左:米田博行さん、右:米田芳子さん

愛川町の古くからの産業は、糸を中心とした繊維産業。
江戸時代、文化4年(1807年)に始まった撚糸(より糸)がその発端とされ、日本刺繍用の糸は、特に有名です。

このような愛川町で、米田さん夫妻は、芳雅美術工芸を主宰し、和紙細工を新たらしい町の伝統工芸として定着させようと取り組んでおり、平成16年、愛川町「町民アイディアまちづくり事業」に採用され、町内での展示会、体験教室など展開しています。

「どんな伝統工芸も、最初は、誰か一人がはじめたのがきっかけになっているはずですよね?」
と、芳子さん。
「今、つくり手が少ないので、作り手を育てていきたい。これからは、東京都内でも教室を開くなど、地域を越えた啓蒙活動も進めていきます」
と、展望を話してくれました。

どんなものづくりを目指しているのですか?

和紙は耐久性が無いので、長い年月を経ると美しさを失ってしまいます。だけど、それを使い込める、日常生活で使える、飾りものではない実用品の道具として使えるものづくりを目指しています。

たとえば、木を土台にして和紙を貼る…それだけでは、色あせてしまったり、毛羽立ってしまいますが、そこで塗料を使ってみたら、20年近く使えているものになりました。その耐久性については、これからもっと証明されていくことになると思います。

和紙には、もともと美しい模様が描かれていますから、「誰もが美しい作品を作る」ことができます。労力とお金を掛けて作るのだから、アクセサリー、引き出しなど実用品であることが大切です。そういった点が、習いたい人の中心である主婦の方に受け入れられているようです。

作品の数々

町民アイディアまちづくり事業応募の発想は?

和紙だから、高齢者でも家の中で手軽に始められますので、「生涯仕事を持ち、生涯現役、生涯職人といった高齢化社会の対策事業」として展開したいと考えました。

まずは趣味の範囲で、自分で使うためやプレゼント用として作品をつくることから始めます。上達すれば展示即売会などで販売することもできますので、作り手の収入につなげることもできるようになります。

愛川町以外の作家が、「本場、愛川町に転住して作品を作りたい!」といって愛川町に住んでくれれば「伝統工芸の愛川町推進」につながって、もっと面白いだろう…といったことも考えながら活動を推進しています。

これからの展開については?

愛川町には、海底和紙というものがあります。海底と書いて“おぞこ”と読むのですが、半原で撚った絹糸や、草木を漉き込んだ和紙のことです。押し花を漉き込んだ和紙をイメージしてください。

現在、海底和紙を用いた作品の開発などにも取り組んでいます。古くからある愛川町の伝統工芸と、「平成の伝統工芸」がクロスオーバーするようなこともあります。

このような地の利を生かすことで、伝統工芸の町を作ることができたら良いなと思いますが、まだまだ頑張らないといけませんね。

実際にお店などあるのですか?

あいかわ公園内の地場産業展示ブースで日常的に販売していますが、思った以上に売れています。

作品には、作者を特定する“廣”などの記号と番号を付けており、記号を見て「私は、この記号が付いた作品が好きなんです」と言ってくれたお客さんもいらっしゃるそうです。

将来は工房の名前を入れ、作り手の自立意識の高めるとともに愛川町を「小さな工房でいっぱいにしたい!」という夢を描いています。

(上から2つ目の写真をクリックして拡大し、実際に“廣”という記号を観察してみてください)

お二人は、この活動を通じ、みなさんが「社会参加の一助になれば」と思うことが一番のポイントだと話していました。

米田夫妻は、古くから愛川町に住んでいたのではなく、いわば転住組の方です。そんなご夫妻が、こんなに活発な活動を展開できる愛川町のふところの広さを垣間見ることができるインタビューでした。

問合せ先:●芳雅美術工芸[TEL:046-286-2105]

関連リンク:あいかわ公園