早春を告げるミツマタの花(前編)

山北町

現在の丹沢湖

そろそろ春の訪れを感じさせる日も多くなってきたこの頃。
例年この季節にはやまなみ地域からの早春の便りを特集記事にしていますが、今回は丹沢湖からのレポートをお届けします。

今回クローズアップするのはミツマタの花です。
ミツマタという植物が話題になることは梅や桜などよりは少ないでしょうし、筆者も「和紙の材料」という程度の知識しかなかったのですが、早春に右の写真のようなほんのり黄色い花を一斉に咲かせ、山に彩りを与えてくれます。

丹沢では、このミツマタの植樹を行い、地域の新しい目玉にしようという活動があります。活動を行っているのは「みつまたによる地域づくり実行委員会」…その会長、高橋春男さんにお話を聞かせていただくことにしました。

2011年撮影:三保地区のミツマタ

植樹をはじめて6年目

高橋さんは丹沢湖から中川温泉に至る県道76号線の道すがらで「ふる里」というお蕎麦屋さんを営んでいらっしゃいます。
お店を訪れると、店頭に白いかわいいつぼみをつけた鉢植えがあります。なるほどこれがミツマタの木か…そういえばここに来るまでの間にも、バスの車窓からトンネルの入口脇などで見かけた気がします。

高橋さんに早速そのことをおたずねしてみると、
「ええ、あそこも土木事務所さんに許可をもらって植樹したものですよ」
とのこと。植樹を始めたのは6年前からだそうですが、3年前に実行委員会ができてから一気に活動が広まったそうです。

「ふる里」店頭のミツマタ

「みつまたによる地域づくり実行委員会」会長の高橋さん

「丹沢湖から中川温泉まで歩いていく方が結構多いんですが、そういう方々に楽しんでいただこうと思って始めたんです。梅と桜の盛りの間は少し離れてしまいますが、丁度その間に花盛りになるんですよ」
ミツマタは12月頃からツボミをつけ、3月はじめくらいに咲き始め、4月の上旬まで楽しめるとのことです。

白いツボミのミツマタ

ミツマタで地域づくりを

このあたりのミツマタは元々、小田原にある印刷局用の紙の材料として植栽されたもので、その名残が自生し、群生するようになったものとのこと。最近山にはシカが増え、他の木は食害でずいぶん荒らされてしまったのですが、ミツマタは香りが強く、和紙の材料にもなるくらいで丈夫なため、食害にあわずに増えてきたのだそうです。

「ジンチョウゲの仲間なので香りが強いんですよ。花もいい香りがしますよ」
「ふる里」さんの店頭には少し花がほころんだ気の早いミツマタがあったのですが、なるほどほんのり優しい香りがします。

店頭には他にも苗木がたくさんそろえてあります。こちらは赤い花をつける種類で、小学校の卒業式に合わせ、ダム下の広場に植樹するためのものとのこと。

咲きかけたミツマタの花

植樹用の苗木

高橋さんいわく、
「すいた和紙を卒業証書にも使ってもらおうと思ったんですが、今年は残念ながら発注済だったんですよ」

そういえば、和紙の材料にもなる木だったことを、花に気をとられて逆に忘れていました。下の写真がその試作品なのですが、山北町の町章入りの立派な厚手の和紙です。

「ミツマタの木は現在は町(山北町)の管理なので勝手に採取したり利用したりは禁じられているんですが、一般にも利用できるようにしようと活動中なんです。
苗木の販売や、和紙の紙漉き体験教室なども開けるようにして、町おこしに活用できるようにしようというのが委員会の目的なんですよ」

鑑賞に、産業にと利用価値の高い植物なんですね。ちなみに、ミツマタをモチーフにしたお菓子も試作してみたのですが、和菓子で日持ちしないため、こちらは今ひとつだったというお話です。

~後編に続く~

ミツマタで漉いた和紙

関連リンク:早春を告げるミツマタの花(後編)