銘菓「丹沢の猪」

山北町

やまなみグッズ「丹沢の猪」

◆丹沢の老舗、盛月堂製菓さん

今回は丹沢の地から、その名もズバリな銘菓「丹沢の猪」を作っていらっしゃる盛月堂のご主人、高橋さんにお話をうかがって来ました。
高橋さんは二代目のご主人で、もうすぐ82才のお元気な方です。

盛月堂は、丹沢湖へと続く山道、県道76号線を登る途中にお店をかまえています。
丹沢湖の先には中川温泉があり、近くには河内川も流れ、キャンプやバーベキューで訪れる方も多い所です。
そんな西丹沢地域のお土産屋さんではどこでも見かける定番の銘菓、最中「丹沢の猪」は、丹沢の自然に囲まれた山中にひっそりと佇むお店で作られていました。

76号線にある店舗。目立つ看板などがないので見落としにご注意。

◆猪突猛進している姿がかわいい!最中

最中というと丸い形や四角いものをイメージしますが、ここの最中は猪突猛進しているなんとも愛らしい猪の形です。
お腹に温泉マークが入っているのもカワイイ。以前にはテレビ東京の「アド街ック天国」でも取り上げられたそうです。

そんな「丹沢の猪」は、中川温泉のお土産として考案された商品で、丹沢に生息する猪をかたどった皮に、北海道産の小豆を使用して、独自の製法で仕上げた餡を詰めた最中です。
ご主人がこだわって作っている餡はほどよい甘さで、お茶のお共にちょうど良い甘さです。こし餡の中につぶ餡が入っていて、小豆の食感が楽しめます。

◆大正11年創業

盛月堂は大正11年(1922年)9月創業。先々代のおじい様は南足柄のご出身で、行商でこの地を訪れた時におばあ様と出会いこの地に定住されたそうです。
盛月堂の初代主人となる先代のお父様は、小田原の老舗和菓子店「盛月堂総本舗」で職人として働いていたところ、その腕を認められてこの地で盛月堂を創業することになりました。
老舗和菓子店「盛月堂総本舗」の支店を名乗れるのは、ここともうあと1店舗だけだそうです。

先々代はこの地に居を構えた後も出身地の南足柄を大切に思っていたそうです。現ご主人もその思いを受け継いで、本籍は南足柄のままにしていらっしゃいます。
丹沢の地を愛し、地元に根付いた商品を開発しようとするご主人の志は、自分のふるさとを大事にする先々代から受け継がれているのですね。

カワイイ猪!

ご主人の高橋さん

◆「丹沢の猪」誕生のエピソード

「丹沢の猪」は昭和37年(1962年)に誕生しました。
それまで卸しの仕事をしていた盛月堂ですが、当時中川温泉に新しくできた旅館で扱うお土産が欲しいという要望から、ご主人は「これからは観光のお土産になる商品を作っていこう」と決断されたそうです。
どんな商品が良いか旅館の方といろいろ知恵をしぼった末、
「折角お土産として作るのだから丹沢らしいものが良い」
と考え、丹沢に生息する猪をかたどった最中が誕生しました。私がカワイイと思ったお腹の温泉マークも、地元の中川温泉をイメージしたご主人のこだわりで刻印されたそうです。

その後昭和53年(1978年)、三保ダムの建設により丹沢湖ができ、新しい観光地として丹沢湖へ訪れる方の土産物としても「丹沢の猪」は人気になりました。

◆初代やまなみグッズ

「丹沢の猪」は平成11年5月に「やまなみグッズ」として認定されました。栄誉あるやまなみグッズ初代認定商品です。

「そういえば…」と言ってご主人が奥から何やら取り出してきました。右の写真の形、見覚えありませんか?
そうです、やまなみグッズのロゴマークの形です。以前試供品としてやまなみのマークをかたどった和菓子をお作りになったそうで、これはその時の木型です。
残念ながら現在販売はされていないそうです。

ウリボウも一緒の包装紙

店内に飾られた「やまなみグッズ」認定書

やまなみグッズマークの木型

◆こだわり その1:小豆を一粒一粒精査

小豆は北海道の小豆を使用しています。その豆をさらに一粒一粒精査して、自分の眼で見てゴミがついていないかなど丹念にチェックされているそうです。
美味しい餡作りはまず小豆選びからなんですね。

◆こだわり その2:あずきの“あげどき”が勝負!

あずきを煮るのに一番難しいのは上げ時だそうです。
季節の温度によって煮る時間を変えていかないと、夏でちょうど良いやわらかさの時間でも、秋になって寒くなるとその時間ではまだ硬いことがあります。常におなじやわらかさの餡を作るためには、その季節の気温に合わせてちょうど良いタイミングで止めなければなりません。
「だから季節の変わり目の時期が一番難しいんですよ」とのこと…そのタイミングを見るのは、長年のカンだけだそうです。

現在は三代目の息子さんがその“あげどき”を見ているそうで、「僕は後ろから見ているだけです」とのお話でしたが、後継者が頼もしく自分の技を受け継いでいる様子を嬉しそうに語っていらっしゃいました。

◆美味しい最中の食べ頃は?

最中の皮はもち米で作られています。パリとふくらんで湿気のある餡を包み込むには、うるち米ではなくもち米が適しているそうです。
でも、「餡を入れてすぐのパリっとした皮より、餡の湿気を含んでいい感じにしんなりした頃が最中の食べ頃です」とご主人はおっしゃっていました。確かにそのくらいの時に食べると、皮の歯ごたえが中の餡のやわらかさとうまく合わさって、最中の美味しさを引き立てる食感になります。

ちょうど良い甘さの餡です

◆丹沢のリアル猪「もなか」ちゃん?!

名前の由来となる猪ですが、近くの山では今でも猪が出るそうです。実は取材当日リアル猪に遭遇しました…といっても野生ではないのですが。
場所は盛月堂の近くにある手打ちそば屋さんで、こどもの猪を保護して飼いはじめたのだそうです。6歳のオスで、その名も「もなか」ちゃん。もちろん最中「丹沢の猪」から名前をもらっています。

猪って意外に大きくて毛むくじゃらでビックリ!
こんなのが猪突猛進してきたら…ちょっと怖いですね。

◆“一生一年生”

もうすぐお誕生日を迎えられて、82歳になるという高橋さん。そんなお歳には全く見えず、お元気で今も現役で和菓子を作っていらっしゃいます。

「一生一年生ですよ」と言う高橋さん…あずきのあげどきは毎回違う、同じ時なんて一度もない、だからいつも初めての経験、“一年生”なんですよとのこと。高橋さんの元気の秘訣は、その前向きで謙虚な姿勢からきているのかもしれません。

老舗ながらも後継者がいなくて廃業してしまうお店はどこでもありますが、そんな中、息子さんが三代目を継がれて、奥様と高橋さんと家族皆で協力して和菓子を作っていらっしゃる盛月堂さん。ご主人は、「後を引き継いでくれる者に対して私は責任があるんだ」と力強くおっしゃっていました。

昨今は、目を引くパッケージだったりネーミングがうまかったりという理由で、つい手にとってしまう既製品の土産物が沢山出回っています。
でも、せっかくその地に足を運んだのなら、高橋さんのように地元の方が地元で丁寧に作っているお土産を手に入れたいものだなあとつくづく感じました。

店舗情報:盛月堂製菓
【所在地】〒258-0125 神奈川県足柄上郡山北町山市場133
【電話】0465-77-2468
「丹沢の猪」1箱10個入り1,050円・6個入り630円

「丹沢の猪」は、盛月堂よりちょっと下にある道の駅「山北」や、山北駅前にある「山北町ふるさと交流センター」などでも買うことができます。

丹沢のリアル猪。シャッターチャンスが悪くてわかりにくくてごめんなさい。

笑顔のチャーミングなご主人

盛月堂よりちょっと下にある道の駅「山北」。ここでも「丹沢の猪」を買うことができます。

関連リンク:やまなみグッズのおもな取扱店一覧