家族で行く日帰り温泉と歴史の地をたずねて(前編)

山北町

JR御殿場線に乗り換えて

◆足柄上郡山北町「山北鉄道物語」と「日帰り温泉」

さあ、梅雨空も空けて本格的な夏が今年もやって来ました。「今年の夏休みは子供と一緒にどこに行こう?」とあれこれ計画を立てていらっしゃるのではないでしょうか。そんな夏休みの家族旅行に、近くても十分に満足感を得ることができる日帰り温泉をご紹介します。

あまり遠くまで行っても、お子様連れで出掛けるのはなかなか大変です。横浜から少し足を伸ばした場所でも自然豊かでのんびりと過ごせ、味わい深い良い温泉があります。JR東海道本線(普通)に乗り、横浜から9つ目の国府津駅でJR御殿場線に乗り換えます。横浜から約1時間半、のんびりとしたローカル線の旅をしながら着いたのは「山北(やまきた)」です。

国府津駅から6つ目の駅、山北駅に降り立ちました。周囲を山で囲まれた静かなところです。
山北駅を降り立ったときの第一印象は、その空気の“うまさ”でした。美しい山々の緑に囲まれ、どこかに懐かしさを感じるそんな風景をもった駅です。

実はこの山北町には「鉄道の町」として歴史がありました。
明治から昭和の初めにかけての山北は、鉄道の町として知られていたそうです。

「やまきた」駅下車

◆山間の町に鉄道誘致がされるまで

時は明治維新後の日本にまで遡る「山北鉄道物語」がありました。「汽笛いっせい~♪」の鉄道唱歌で歌われたように、鉄道輸送が文明開化を支えていた当時、1872年(明治5年)に横浜~品川間で開通した鉄道は、後に京都~大阪~神戸間でも開通し、やがて、東西のレールを結ぶ東海道線が計画されました。その間に位置する山北に鉄道と駅が置かれた背景には、沿線の人々の熱意が国鉄や政府を動かしたという事実もあったようでした。

その際に問題となったのは、険しい箱根山を越す山北~御殿場間の路線決定でした。山北町の西に構える箱根の山は東海道でも一番の難所でもありました。東海道線の路線決定にあたって最も苦心したのは「天下の険・箱根山」をどうやって越すかということで、幾つかの案が検討されました。

1) 国府津(現小田原市)から海岸線を通って箱根山の下を長いトンネルで貫き沼津方面へ出るルート
(2) 関本(現南足柄市)から狩川沿いに地蔵堂を経て、足柄峠の下をトンネルで貫き竹ノ下(現静岡県駿東郡小山町)に出て御殿場に至るルート
(3) 国府津から酒勾川沿いに山北を経て、箱根山を大きく北に迂回し御殿場に至るルート

当時の土木技術から前2案は施工不可能と判断され、山北~御殿場間も山々が険しく地形が複雑なため、十数回の測量検討の結果1887年(明治20年)にようやく山北・御殿場ルート(現在の御殿場線)が決定されました。今からおよそ120年も前に山北駅の設置が決定されたのだそうですが、東海道線の前身としてのルートであることは、あまり多くの人に知られていない歴史の重みを感ずるところでした。
また、御殿場線は、県内唯一のJR東海の路線ですので、現在の東海道線では、見かけない車両も走行しております。

「山北鉄道物語」

◆駅前の「山北町ふるさと交流センター」を訪ねて

前回の記事に引き続き山北町を訪ねたのは、この町のなんとも味わい深い居心地の良さを感じ、お子様と一緒に夏休みを過ごされるのであれば、この地をと思い今一度山北町を紹介させていただくことにしました。
まずは駅前の「山北町観光協会」が営む「山北町ふるさと交流センター」に立ち寄ることにしました。

この施設は、山北町の林業に関するさまざまな情報を発信し、木材の利用促進を図るため、また、山北町の活性化や町民・都市住民との交流の場の提供のために設置された施設です。中に入るとスギやヒノキのほのかな香りがして、木そのものの素材のぬくもりを感じることができる観光案内所でした。
1階には森林情報を発信するホールがあり、森林・林業のパネル展示や特産品の展示などがあり、2階は研修ホールとふれあい交流コーナーがあって、様々な研修や体験教室、交流の場としても利用することができるそうです。
お話を伺ったのは「山北町観光協会」事務局長の渡辺悟さんから、このご案内をいただきました。

なお、施設の外観は、旧国鉄のSL機関庫をイメージしており、屋根には、煙突がデザインされています。町産木材を主体とした県産木材や、産業交流先の新潟県旧山北町(現村上市)のスギ集成材を使用して建築しております。
また、施設前の観光案内塔は、日本名木百選の「箒スギ」をイメージし製作したものです。

「山北町ふるさと交流センター」
〒258-0113 神奈川県足柄上郡山北町山北1840番地15(JR山北駅前)
営業時間 9:00 ~ 17:00
休館日  年末年始(12月29日~1月3日)
TEL 0465-75-2717 FAX 0465-75-2718

ふるさと交流センター

◆おしゃれでレトロな「山北町内循環バス」

「山北町ふるさと交流センター」前から発着するおしゃれでレトロな「山北町内循環バス」があります。山北町の街中の要所を循環するバスなのだそうです。
残念ながら今回はこのおしゃれなバスに乗ることはできませんでしたが、このようなレトロなバスが走り抜ける町って素敵ですよね? このバスを見ているだけでも旅情の味わいが深まる風景なのでないでしょうか。

◆駅前温泉「さくらの湯」

山北駅のすぐ前にあるのが「山北町健康福祉センターさくらの湯」です。
写真でもお分かりのように駅前にある温泉施設で、山北町が「まちづくり」の一環として運営するのがこの「さくらの湯」です。

「さくらの湯」は、運動温浴を推奨する施設で、アクアビクスや水中ウォーキングなど、水深を自由に変え、お子様からお年寄りまで水(温水)の浮力を利用した運動をすることができる温泉施設です。

泉質は、「炭酸カルシウム」で、北海道長万部二股川上流にある、「名湯・二股温泉」の石灰華原石100%を使用した人工温泉です。主成分の炭酸カルシウム(95.75%)は湯に溶けこみ、入浴により皮膚から吸収されて、美肌づくりやリフレッシュなどの健康づくりに役立つのだそうです。 運動浴室施設があり、運動浴室は15m×7m、プール周囲もゆったりとしていました。 特徴としては、床暖房と運動の種類や対象者によって水深が0~110cmまで変えられる可動床があることです。

レトロでおしゃれな「山北町内循環バス」

駅前温泉「さくらの湯」

館内には、ボディソープとリンスインシャンプーが常備してあり、脱衣室にはドライヤー、マッサージ機もありました。休憩室は、45人程度が利用できる和室で、飲食物の持ち込みもできるそうで町の人々が気軽に利用でき、給茶機の設備もありました。また、受付では、タオルを販売しているので、何も持たず手ぶらで訪れることができますね。

開館前のお忙しい時間に館内をご案内いただいたのは、山北町健康づくり課健康づくり班の主幹 杉本吉郎さんでした。ご案内ありがとうございました。

◆効果・効能
あせも、荒れ性、冷え性、しっしん、しもやけ、うちみ、捻挫、肩こり、神経痛、腰痛、リウマチ、疲労回復、痔 など

◆設備の紹介
①東側浴室(浴室1) 浴槽、高温サウナ、露天風呂、打たせ湯、圧注浴、全身シャワー、かぶり湯、冷水浴
②西側浴室(浴室2) 浴槽、低温サウナ、露天風呂、かぶり湯(水と湯)、寝湯
東・西側とも日替わりで、奇数日は東側を男湯、西側を女湯として利用し、偶数日は、逆になります。和室の休憩室があり、入浴後はゆっくりとくつろぐことができます。

■「さくらの湯」のご案内

【所在地】〒258-0113 神奈川県足柄上郡山北町山北1971-2
【営業時間】午前11時から午後9時まで
【定休日】 木曜日(祝日の場合は翌日)、12月28日から1月5日
【アクセス】
[電車・バス]
JR御殿場線山北駅下車 駅前。
[自家用車]
東名高速道路「大井松田インターチェンジ」下り国道255号線に入り、国道246号線を御殿場方面に向けて左折、約4km進み「山北駅」を左折してすぐ
【問合せ先】
さくらの湯 電話 0465-75-0819
山北町健康づくり課 電話 0465-75-0822

「さくらの湯」露天風呂

運動浴室施設